コロナ自粛中に思わぬ病を見落とさないで!
9月ですのに未だ暑さとの闘いですね。今年はマスクを着用していますので、例年にも増して残暑が厳しく感じられます。
さて今回は当治療室の60代の女性の患者さんのお話をさせていただきます。
2年前から定期的に通っていただいている患者さんです。
食欲不振、冷え性、首肩腰のこりが強く、毎回高濃度炭酸泉の足浴、はりきゅう、アロマトリートメントの併用治療をしていらっしゃいます。
今年に入ってからは年初に一度ご来室いただいた後、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言前からしばらくご来室ありませんでした。2月にもご予約されたものの、コロナウイルスの感染を恐れてキャンセルされ、ご来室を見送っていらっしゃいました。
その後3~5月はご自宅から動けなかったこともあり、ストレスが相当溜まっていらした様子で一度お電話をいただいたこともありました。
6月にご来室された際、腹診時に下腹部の異常な膨隆を確認しました。ご本人は便秘のせいかも?とおっしゃっていましたが、年初にはりきゅう治療をした時とは、下腹部の膨らみ方が異なり、異様な感じがしました。また、つわりのような吐き気が4月からあったにもかかわらず、病院に行くとコロナウイルスに感染する可能性があると思い、しばらく病院の受診は控えていらしたそうです。ただ下腹部の膨らみは普通ではないので、腸もしくは婦人科系に問題があるかもしれないので、躊躇せずにすぐに病院で診察してもらうように言いました。
その3日後にお電話をいただきました。大きくなってしまった卵巣がんが見つかったそうです。すぐに切除術することになりました。子宮への転移を考慮し、子宮、卵巣とも全摘、リンパ節も郭清することになりました。
通常ですと手術は順番待ちで1ヶ月以上先になるそうですが、コロナウイルスの感染を避けて手術を先延ばしにしている方が多く、2週間後に手術日が確定しました。コロナウイルス感染が拡がっている時期でもありましたので、ご希望の病院では手術が出来ないとのことでしたが、病院を選択している猶予はありませんでした。
手術前にご来室された際には、心身ともに疲労困憊されていらしたので、免疫力を上げ、また気持ちが前向きになるように頭皮はりと足の前面、こりの強い首肩だけに軽くはり治療をして早めにお帰りいただきました。
セルフケア用にお渡ししたはりのシール(パイオネックス)は、手術前後の痛み、食欲不振の際に役立ったとおっしゃっていました。
落ち込んでいらした患者さんに伝えたことは2つ。
「手術前後、とくに術後は寝られるだけたくさん寝てください。」
「回復後の目標を必ず持ってください。」
とても明るく陽気でチャーミングな患者さん。回復後にハワイに行けるように頑張るとおっしゃって手術に臨まれました。
無事に手術が終わり、退院されてすぐにお電話をいただきました。
「足のむくみが強いので、高濃度炭酸泉の足浴だけでも受けたい」とのことでしたが、術後間もないので免疫力が相当低下していると思いました。また今年はコロナウイルスに感染する危険性も伴うので、外出はせず、当治療室へのご来室もご遠慮いただきました。
足のむくみが強い時、特に夏ですので、市販の強炭酸水を常温で洗面器に入れてご自宅で足浴されることをお電話でお勧めしました。ぬるいですが高濃度炭酸泉の足浴になります。洗面器は移動するのがしんどいと思いましたので、風呂掃除用のプラスチック製のスリッパに強炭酸を入れて足浴すると片付けも簡単だと説明しました。
実は私も抗がん剤投与中に足のむくみや手足症候群と言って足が真っ赤に腫れあがった時にこの方法を考え出して自宅で毎日足浴をしていました。足浴後はむくみが楽になり、手足症候群の腫れも少し引いていました。
手術から1か月後に抗がん剤「ドセタキセル」を1クール投与、腎臓への負担が大き過ぎて1クールで断念されたそうです。私も同様の「タキソテール」系の抗がん剤を3年前に3ヶ月間投与しましたが、やはり副作用が多くとてもきつかったです。
抗がん剤投与から1ヶ月後にご来室され、体重は随分減少しましたが、治療後は変わらぬ笑顔を取り戻して安心しました。
術後はたくさん眠ったとのことでした。今は順調に回復され、大好きなデパ地下にも行けるようになったと喜んでいらっしゃいました。
コロナ自粛中に病院への来院を恐れ、病が思わぬうちに進行してしまうこともあります。
身体に異常な状態が続く時には、コロナウイルス感染防止をしっかりした上で、病院の受診を見送ることがないようにしてください。手遅れになる前に!
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