心身ともに温泉で癒しを!
食養生の権威 森下敬一先生が年初に逝去され、
「森下自然医学」は残念ながら廃刊となりました。
9月からは「自然医食」に学会誌名が変更され、引き続き食養生を
「心身ともに温泉で癒しを!」というタイトルで書きました。
温泉の歴史、効果、利用法、6年前に研究した高濃度炭酸泉、湯治
そのうちの湯治のすすめ
【湯治のすすめ】
湯治とは、けがや病気を癒すことを目的として、数日間から数か月間温泉地に滞在し温泉療養を行うことです。
最近では湯治を知らない若者が増えていますが、もともとは農民が農閑期に治療を目的に温泉地に長期滞在し、布団や食材を湯治場に持ち込んで数か月にわたって温泉療養をしていた日本の伝統的な文化です。
江戸時代の貝原益軒の「養生訓」にも温泉入浴について書かれており、湯治についても触れています。湯治は7日で一廻りと記載されています。忙しい現代人には2泊3日ほどの湯治でも効果が感じられると思います。
私は3年前に乳がんになり、半年間の抗がん剤治療を経て右乳房全摘、リンパ節も郭清しました。術後は療養として湯治していました。また投薬治療中の体調管理のため、また心身ともにケアするために少なくても半年に1回は約1週間の湯治をしています。この1週間の湯治が私にとってはかけがいのない癒しの時間となっています。身体の不調箇所が改善するだけでなく、湯治場の湯を含めた自然や地元の方々とのふれあいによって、都会では味わえないリフレッシュ感を得られ、心身共に癒されます。
湯治は特定の臓器に働きかける療法ではなく、人間が本来持っている自然治癒力を高めてくれます。温泉水の成分による薬理作用に差はありますが、温泉浴は自宅の水道水浴とは異なり、薬理効果により末梢血管の拡張が促進され、血液循環が高まり保温効果にも優れています。血液循環を促進することで新陳代謝が高まり、老廃物が速やかに排出され筋肉のこりが和らぎ、痛み物質も消失するので鎮痛効果が得られます。
温泉成分の薬理作用によって、酸性泉、硫黄泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉などは殺菌作用やかゆみを軽くする作用などがあります。
本来湯治は自炊をするものでしたが、最近は食事付きの快適な湯治場も増えています。写真の宿では食事と温泉で心身を整えたい方向けに発酵玄米と野菜中心の「一汁三菜プラン」が用意されています。館内外に貸切風呂が多く、私のように乳房を全摘していても気兼ねなく入浴できます。(写真は東鳴子温泉「旅館 大沼」さんの貸切露天風呂と一汁三菜の一例です。)
日常生活から離れ、温泉を含む温泉地全体の自然の恵みをいただき、また温泉地の食材をいただき、地元の人とふれあうことで、心身の不調を改善し、また免疫力を高め、本来の自分を取り戻して大いに健康増進に役立てていただきたいと思います。
コメント
※コメントは承認制となっております。承認されるまで表示されませんのでご了承ください。