「第91回日本温泉気候物理医学会」と河鹿鳴く霧積温泉
5月30日(土)と31日(日)群馬県の磯部温泉(温泉マーク発祥の地)で「第91回日本温泉気候物理医学会」が開催されました。そのうち興味深い手技療法の発表や群馬県の温泉に関する講義の一部をご紹介させていただきます。
【手技療法の発表より】
「あん摩の介入がブラキシズムに及ぼす影響について」
陽明胃経という足の前側にある経絡にあん摩による揉捏(筋肉をもみほぐす)を行ったところ、ブラキシズム(歯ぎしり、噛み締め、食いしばり)の習慣指数が有意に減少したという発表でした。
鍼灸では、上の歯にアプローチしたいときにはこの陽明胃経のツボを使い、また下の歯には陽明大腸経のツボを使いますが、今回は鍼灸ではなくあん摩療法でも良い結果が出たということも今後の治療に生かして行けます。
【温泉に関しての発表から】
「成人難治性アトピー性皮膚炎に対する草津温泉療法」
旧群馬大学医学部附属病院草津分院で1990年から2002年までに成人の難治性アトピー性皮膚炎の患者に1日2回の温泉浴と保湿剤塗布を行ったところ、皮膚症状は81%で改善し、そのうち73%は掻痒も改善した。改善例では皮膚表面の黄色ブドウ球菌の減少傾向が認められたが不変例では変化しなかったので温泉水の殺菌作用が推定された。
草津の泉質である酸性(pH2.0)アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉であるが、その成分のうち殺菌作用があるのは水素、マンガン、ヨウ素イオンに因ることが判明した。本疾患に対する作用機序は温泉水の殺菌効果であり、対症療法の1つである。
「地球化学的観点から見た群馬県の温泉の特徴」
群馬県内には放射能泉とヨウ素以外全ての泉質が存在すると言われている。このように多種多様な泉質が存在するのは群馬県の地質構造が関係している。今回の開催地である磯部温泉や霧積温泉は、中・古生界の恐竜時代の地質が温泉に関わっている。
またそこには中央構造線が通っているため、高濃度の二酸化炭素が出るそうです。磯部温泉の街中に炭酸水のお煎餅通りがある理由が分かりました。温泉街には赤城神社や足湯もあり、のどかな温泉街でした。磯部温泉の成分は非常に濃いために加水加温しているそうです。温泉分析書を確認したら正に濃い温泉でした。湧出量が足りなくて加水加温している温泉はよく聞きますが、濃すぎて埋めているというケースは珍しいのではないかと思いました。
― 河鹿鳴く霧積温泉 -
会場の磯部温泉から信越本線で3駅先の横川駅から一部ガードレールの無い険しい道を40分程走った所にある「霧積温泉」に寄ってきました。1950年代に放映された「人間の証明」の舞台となった温泉地で、中学生の頃から行きたいと思っていた温泉です。
ご夫婦で宿をきりもりされている歴史ある風情のあるお宿です。山奥ですが39℃の低温のやわらかいお湯です。浴場のカランからは贅沢にも温泉の源泉が出ます。また洗面台では源泉で歯ブラシ、洗顔をします。飲料水も岩清水です。
ちょうど訪れた時は河鹿が鳴き、また新緑が鮮やかで五感が研ぎ澄まされました。ほっこりと自然と一体となった癒される湯宿でした。

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