「第84回 日本温泉気候物理医学会」Part1 今回の学会トピック
5/18&19 岡山で開催された「第84回 日本温泉気候物理医学会」に参加しました。
今回のテーマは「超高齢社会における温泉医学」
超高齢社会で温泉医学や鍼灸治療がどのように生かされるかについてのシンポジウムや発表がありました。いくつかのトピックをお知らせします。
岡山大学で研究されている鳥取県の「三朝温泉」についての発表がありました。
(三朝温泉はラドン含有ラジウム塩化物泉です。ラドン(放射線元素ラジウムが崩壊して出来る気体)は呼吸で体内に入ると血液を巡り全身の細胞を刺激して働きを活性化させます。つまり新陳代謝を促進し、免疫力や治癒力を高める手助けをしてくれる「ホルミシス効果」があることで全国的に注目度が高まっています。三朝温泉観光協会発行「現代湯治 ポケット ラヂムリエ」)
三朝温泉のラドン吸入により主に老化防止作用と言われる抗酸化作用(細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素SODが増加することで抗酸化機能が高まり、組織血管障害の原因が抑制される。)免疫調節、抗炎症などだけでなく、新規適応症として神経障害性疼痛、I型糖尿病の抑制効果、一過性脳虚血や炎症性浮腫などの可能性も明らかになりました。さらに三朝温泉のラドン療法は6時間で延べ0.04mSvであり、三朝温泉浴室年間入浴0.4mSv弱で安全であることが確認されています。
また発表の中で下のように「ラドン温泉」と「笑い」の共通健康効果があるというのも興味深い内容でした。
1. 痛み緩和(β-エンドルフィンというホルモンが多量に分泌されるため)
2. NK(ナチュラルキラー)細胞活性化によるがん予防
3. リラックス効果(副交感神経の働き活性化)
鍼灸の演題の中では、腕にある手三里というツボと手にある合谷というツボへのアプローチにより脳血流が増加するという発表も以前にありましたが、鍼灸治療により軽度な認知機能障害を減らせる可能性があり、高齢者の日常生活に影響のある食欲、睡眠、便通などを改善していけることも確認されています。また高齢に伴う虚弱な状態を示す「フレイル」予防に対し、鍼灸治療による機能回復(筋力、歩行やバランス機能などの回復)の有効性についても確認されています。
センティナリアン(100歳以上)に調査したところ3つの特徴が分かったとの発表もありました。
1. 外交的
2. 明るい
3. 人付き合いがよい
この3つを実行すると長生き出来るのかもしれませんね!
学会の帰りに特急を乗り継いで鳥取県の三朝温泉に寄って来ました。その内容は次のブログでお知らせします。
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