「日本温泉気候物理医学会」Part 1 今回の学会トピック

5月中旬に「第83回 日本温泉気候物理医学会」に参加するため鹿児島に行ってきました。

桜島や霧島の新燃岳の火山活動が気になっていましたが、風向きによって桜島の火山灰で多少目が反応する程度でした。

「温泉気候物理医学会」は昭和10年に設立された歴史ある学会で、温泉や気候に関するテーマだけでなく鍼灸やリハビリテーションなど医学的応用に関する内容など幅広い学会です。今回の学会の発表の中で特に興味深かったトピックをいくつかご紹介させていただきます。

 

1. 41℃10分の全身入浴で免疫力アップ&病気予防

和温療法研究所の鄭先生が発表された「和温療法」

体を気持ちよく温める「和温療法」は全身の血管内皮からNO(一酸化窒素)を著明に発現し、動静脈を拡張し、心臓の負担を軽減します。また生体の防御反応であるヒートショック蛋白(HSP)を産生し、細胞死抑制、全身の細胞を強化、免疫能を高めます。

41℃ 10分の全身入浴で深部体温を1℃~1.2℃上昇させることで免疫力が高まり、病気予防ができます。

 

2. 四肢末端の鍼刺激で脳血流が増加

四肢(両腕と両足)へのツボ4か所に鍼を刺入し10分間留置し、MRI(磁気共鳴画像)を用い大脳皮質の血流増加を確認した。

四肢末端への鍼刺激でも脳血流が増加することが分かった

 

3. 鍼治療によるストレス反応抑制

鍼治療は不安障害、抑うつ、統合失調症、睡眠障害などの精神的要因が関連する症状にも適応されているが、百会(頭頂部中央のツボ)への円皮鍼(鍼の付いたシール)治療でも、ストレスをもたらす反応に係わるオレキシンやオキシトシンの分泌抑制を介してストレス反応を抑制した

 

4. 高濃度炭酸泉足浴による冷感症状の改善

糖尿病性腎症による透析患者への1日10分5日間の高濃度炭酸泉足浴により、冷感の自覚症状が改善し、下肢表面温度の上昇も認めた。

 

5. ナノミストサウナで自然免疫応答の増強

ナノミストサウナで長期間(33日間、1日20分)入浴を繰り返すことにより、末梢血中顆粒球やNK(ナチュラルキラー細胞)が増加し、生体防御機構の自然免疫応答が増強し、交感神経緊張状態を和らげる効果が表れた。

 

6. あずきを用いた腹部温罨法で便秘傾向の改善

あずきを用いた腹部温罨法(電子レンジで加熱し繰り返し使用出来るあずきを用いた製品)を女性12名に7日間施術したところ、聴診器による腸蠕動運動が増加傾向となり、半数で便秘評価尺度の点数が低下し便秘傾向が改善された。

 

次回は鹿児島での学会の後に立ち寄りました効能豊かな温泉のご報告です!

 

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